『特捜最前線』(とくそうさいぜんせん)は、東映の製作によりテレビ朝日系列で1977年4月6日から1987年3月26日までの間、10年間にわたって放送された連続テレビドラマ。
- 放送時間
- 第436話(2時間スペシャル)(1985年10月10日) 20:00 - 21:48 ※この回より木曜日に移動
東京総合ビル33階の一室に置かれた警視庁特殊命令捜査課(通称「特命捜査課=特命課」)に所属する刑事たちのバラエティに富んだ捜査活動と人間ドラマを描く。
- 担当する事件は「行方不明になった子供の捜索」から「特殊爆弾による爆破阻止」まで幅が広い。
- 他の刑事ドラマでは、部署内で怒る相手はミスをした部下や後輩である場合が常だが、この作品では同僚や先輩刑事、時には上司(課長)に対して怒りを見せるシーンもある。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
[編集] 番組の歴史
[編集] 1977年
4月6日:「頭脳と行動力を駆使して多発する凶悪犯罪や難事件に挑戦する6人の刑事の活躍物語」というコンセプトでスタート。メンバーは、課長神代、ヘリ捜査専門の桜井、落としの名人船村、地方出身のバイタリティ男高杉、熱血刑事吉野、新米津上の6人。当初は特命ヘリの存在を作品の見せ場とし、他の刑事ドラマでありがちなエピソードが連作され、作風も比較的マイルド路線であった。また、各刑事にスポットを当てた個人編の存在も神代と桜井に集中し、各々の個性に言及しているものは少なかった。
6月29日:第13話「愛・弾丸・哀」放送。この作品が、このドラマの路線・方向性が決定づけられたとも言われている。これ以降佐藤肇・野田幸男演出回を中心に作風がハード化していく。ちなみに、先述の第13話とプルトニウム爆弾を扱った第29話・第30話、神代の娘の死とその復讐劇である第50話・第51話はこの時期の作品の中で特に人気が高いとされている。
9月:金沢で番組初の地方ロケを敢行(第24・25話)。
[編集] 1978年
3月:藤岡がドラマ『汽笛が響く!』出演のため降板。それに代わる特命ヘリポジションで紅林刑事が加入(第52話)。
4月:桜井に代わる警部ポジションとして橘刑事が加入(第53話)。タイトルロゴ、オープニングテーマ、アイキャッチ、ナレーターを一新、メンバーを全員エリートキャラにシフトさせハードアクション中心の路線に。
7月:北海道函館でロケを敢行(第68・69話)。
9月:1話完結ものとして異例の3話連続作品「挑戦」をOA。
[編集] 1979年
1月 - 2月:北海道での二度目のロケを敢行(第97・98話)した際、二谷がスキーで転倒し重傷を負い番組を一時離脱。また55話以降、西田のスケジュールの都合で準レギュラー化していた高杉がとうとう殆ど姿を見せなくなり、実質レギュラーメンバーが橘、船村、紅林、吉野、津上の5人となり、番組最大のピンチに。
3月:そのピンチを乗り越えるべく、蒲生警視(長門裕之)を課長代行(次長)として登場させる(第100話~第104話)。さらに補強策として降板していた藤岡が復帰(第103・104話)。
4月:西田がついに番組を降板(第105話)。その穴埋め的なポジションとして、庶民派の滝刑事と(第108話)高杉婦警が加入(第109話)この時期以降過激な雰囲気をかもし出すエネルギッシュな人間ドラマが連発される。
5月:視聴者公募作品において二谷が番組に復帰(第110話)。
9月:一時の危機を脱し安定したと思われた矢先、大滝が映画『影武者』の撮影で降板(第127・128話)。
[編集] 1980年
1月:時代劇俳優への転向を示した荒木が降板(第146・147話)。番組初の殉職という形を取る(その際のエピソードは後述)
2月:叶刑事が加入(第148話)。
7月:桜木が降板(第169話)。その翌週、大滝が復帰(第170話)。その後、番組は神代、船村、橘、桜井、紅林、叶、吉野の7人体制になり、このメンバーで5年間にわたり固定され、いわゆる「黄金期」を迎える。
[編集] 1981年 - 1982年
1981年3月:第200・201話「ローマ→パリ縦断捜査!」で、番組200回記念作品として初の海外ロケを敢行。
この頃からアクション重視の路線から、刑事たちや事件に関わる人々の心情を深く描いた、いわゆる「人情系」の路線へとシフトしていった。また、この時期には、蒲生警視のシリーズ物(窓際警視シリーズ)、視聴者投稿作品、犯人当てクイズといった企画が登場するようになり、次回予告では五木田武信がリポーターとして顔を出すようになる。
1982年8月:海外ロケ第2弾として、ハワイロケを敢行した5周年記念作品を放送(第275・276話)。
1982年9月:第278話「逮捕・魔の24時間!」で、二谷が初めて監督を担当。
1982年11月:制作サイドと対立したメインライターの長坂秀佳が番組を降板。
[編集] 1983年 - 1984年
1983年6月:制作サイドと和解した長坂が7ヶ月ぶりに番組に復帰。「長坂秀佳シリーズ」として原則集中型のオンエアー形式となる。
1983年9月:この頃からオープニングも一新して、視聴率が20%以上を連発するようになる。
1983年12月:藤岡が映画「SFソードキル」の撮影の為に一時番組を離れ渡米。その間、五代高之扮する早見刑事が加入して穴を埋める(第342話~第348話)。
1984年1月:第347話「暗闇へのテレフォンコール!」で、番組史上最高視聴率となる27.4%を獲得をし、9週連続20%以上の視聴率を獲得。
1984年2月:350回記念作品の第1弾として放送された第350話「殺人トリックの女!」で、二谷英明の妻の白川由美が準レギュラーとして初登場(以後419話、436話に登場する)。続く第2弾での第351話「津上刑事の遺言!」では、荒木も含めこれまでのレギュラーが勢ぞろい。
1984年3月:作家シリーズ第2弾、石松愛弘シリーズを4週連続でオンエアー。
1984年3月:五木田武信が予告担当を降板。
1984年4月:7周年記念作品の一環として、第359話&第360話「哀・弾丸・愛・7人の刑事たち!」(第13話のリメイク版)が放送。この作品は、「特捜」の中でも名作との評価が高いと言われる。視聴率は、359話は、20.0%で、360話は、20.0%の好視聴率を獲得。
その後も、沖縄ロケ、東京の街シリーズ、秋の特別企画、女性の犯罪体験の手記シリーズといった企画を連発。
[編集] 1985年
1月:大滝が舞台で番組を一時離れた為、代打で渡辺裕之演じる的場刑事が4話限定(第397 - 400話)で加入(その後、第428話で再びゲスト出演)。
3月:8周年記念としてベルギーロケを敢行した作品(第407・408話)を放送。
6月:第418話「少年はなぜ母を殺したか!」では、全編法廷内でドラマを展開(連続ドラマ初)。
8月:塙五郎と足掛け8年半レギュラーを務めた大滝が降板。(第430話)。
10月2日:初回からレギュラーとして出演を続けていた、誠が殉職という形で降板(第435話)。
10日には『ニュースステーション』スタートに伴い、木曜21時に枠移動。その初回は番組唯一の2時間スペシャルとして放送。この回から、5年9ヵ月ぶりの新メンバーで渡辺篤史演じるマイホームパパキャラクターの時田警部補と、三ツ木清隆演じる激情派キャラクターの犬養巡査部長が加入。オープニングが一新。他の刑事ドラマを意識するかのように再びアクション色が濃厚に。
11月:メンバー歴代最年少の阿部祐二演じる杉巡査が加入、婦警が6年半ぶり三度目の交代(第441話)。6年半ぶりに特命課員が8名になった。これ以降コミカルさを織り交ぜた生活感漂う設定が強調された。
12月:岡山・香川ロケを敢行(第444話「退職刑事失踪の謎!瀬戸内に架けた愛!!」・第446話「倉敷~高松~観音寺・瀬戸内に消えた時効!」)。
木曜21時に移動後、裏番組に人気音楽番組『ザ・ベストテン』(TBS系)があったことや主要メンバー変更の影響、また番組自体のマンネリ化もあり、視聴率が黄金期の平均20%台から平均12%台に下降し、苦戦するようになる。
[編集] 1986年 - 1987年(番組の終焉)
1986年4月:視聴率回復の一環(テコ入れ)として9周年記念・犯人当て懸賞付きドラマ(第460話「挑戦・この七人の中に犯人は居る!」)を放送。その後編(第461話「挑戦II・窓際警視に捧げる挽歌!」)で、番組準レギュラーの蒲生警視が殉職。視聴率は振るわなかったものの、捜査四課の西岡刑事(蟹江敬三)がその後もセミレギュラーとして登場、ミステリアスな刑事役を演じた。この回からオープニングを一部変更した。
この時期は視聴率を回復させる為に、終着駅の女シリーズ(第457・458・459話)、石松愛弘シリーズ(第474・475・477話)、二谷英明監督作品第二弾(第490話「強殺犯逃亡・あぶない道連れ!」)、若者向けの作品など趣向を凝らした企画が練られたて、若干、視聴率が上がったものの、いずれも「ザ・ベストテン」の牙城を崩すには至らなかった。
1986年10月からは、再びオープニングを一新して、視聴率回復を狙ったが結果として表れず、視聴率が一桁台に落ち込む回も出てくるなど低迷した為、1987年3月をもっての番組終了が決定した。
1987年1月:500回記念作品(第500話・第501話)を放送。この作品では、船村ファミリーのほか、誠が殉職した吉野刑事と瓜二つのチンピラ役で出演。
1987年3月:「長坂秀佳終幕三部作」を放送。警官大量汚職事件と橘・桜井・神代、3人それぞれの人生模様を絡めた。3部作の最終回でついに特命課廃止案が浮上。明確な解決的展開もないまま特命課は「特命部」に格上げとなり神代は特命部の部長に、橘、桜井はそれぞれ特命第一課と特命第二課の課長となり、「特捜最前線」は終了した。
[編集] 登場人物
特命捜査課・刑事